人間デモを超越するエンドツーエンド自動運転モデル DriveZero──nuPlan で 93.57 点を記録
人間データの模倣を脱却し、閉ループ強化学習と Vision Foundation Models の統合により人間軌跡の監視なしで SOTA を達成した。
リリース: 2026-09-05 · 読了 6 分論文概要
従来の大部分のエンドツーエンド自動運転システムは、人間の運転ログの模倣学習に依存しており、記録された軌跡の質や行動カバレッジによって性能が制限されていた。本論文で提案する DriveZero は、人間のデモによる制約を超越し、人間軌跡の監視を一切行わずにエンドツーエンドの運転を実現するシステムである。運転タスクを認識モデルと行動モデルに分解し、それぞれの特性に最適な環境で事前学習を行った上で単一のプランナーに統合する。nuPlan において、バリューガイド付きテスト時行動探索を用いた DriveRL は Val14、Test14-hard、Test14-random のコミュニティスプリット全体(非リアクティブおよびリアクティブモード)で平均スコア 93.57 を記録し、すべてのスプリットで Log-Replay エキスパートを超えた。さらに、NAVSIMv1、NAVSIMv2、および閉ループ HUGSIM ベンチマークで SOTA を達成している。

関連研究
既存の自動運転の多くは imitation learning をベースとしており、人間が運転した膨大なデータセットの教師あり学習に頼ってきた。しかし、このアプローチでは人間特有のエラーや、稀にしか起きないコーナケースに対する柔軟な対応が困難であった。本研究は、事前学習済みの Vision Foundation Models と閉ループ強化学習を組み合わせることで、人間のデモデータに依存しないアプローチを確立した点で既存研究と一線を画している。
新規性と貢献
最大の新規性は、人間データを模倣するのではなく、閉ループ強化学習と Vision Foundation Models の統合により人間デモを超える運転動作を獲得した点である。認識と行動を分離してそれぞれの学習レシピを最適化し、さらにゴール条件付きの特権付き教師モデルの軌跡をカメラ専用の学生モデルへ蒸留するフレームワークを構築した点が学術的・実用的な大きな貢献である。
提案手法の詳細
DriveZero は、認識モデルと行動モデルを分離して構築される。認識を担う DriveVFM は、DINOv3、SigLIP2、SAM、Depth Anything V2 などの複数の凍結された Vision Foundation Models をタスク特化型のアノテーションなしで単一のバックボーンに統合する。世界を広く深く理解するために大規模かつ多様な視覚データを利用する。一方、行動側には混合エージェント閉ループ強化学習フレームワークである DriveRL を導入する。実際の運転ログをインタラクティブな世界へ変換し、PPO アルゴリズムを用いた閉ループロールアウトによって特権付き教師ポリシーを訓練する。最後に、ゴール条件付きの教師モデルからロールアウトされた軌跡をカメラ専用のプランナーに蒸留する。

評価・考察
評価では nuPlan、NAVSIMv1、NAVSIMv2、HUGSIM が使用された。nuPlan において、DriveRL はバリューガイド付きテスト時行動探索を組み合わせることで、Val14、Test14-hard、Test14-random のすべてのスプリット(非リアクティブおよびリアクティブモード)において平均 93.57 点を獲得し、Log-Replay エキスパートを上回る性能を示した。人間による軌跡の監視が一切ない状態でありながら、NAVSIM 等の主要な閉ループベンチマークで最高性能を叩き出しており、強化学習ベースの行動モデルの有効性が実証されている。
応用例と今後の展望
自動運転開発分野、とりわけ自動車メーカーやモビリティサービスプロバイダにおけるエンドツーエンドの自動運転システム開発に対して直接的なインパクトを与える。人間の運転ログを収集・アノテーションするコストを削減し、シミュレーションと強化学習ベースでの安全性・ロバスト性向上を実現する手法として実務的な価値が高い。今後は、より多様な実世界環境やエッジデバイス上でのリアルタイム推論に向けた最適化が課題となる。
結論
本研究は、人間のデモデータの模倣から脱却し、閉ループ強化学習と Vision Foundation Models の融合によるエンドツーエンド自動運転システム DriveZero を提案した。nuPlan 等のベンチマークで SOTA を達成し、人間監視なしで高度な運転行動を獲得できることを示した点で、今後の自動運転研究のパラダイムシフトを促す重要な成果である。
注釈
- nuPlan: 自動運転プランニングアルゴリズムを評価するための大規模なデータセットおよびベンチマーク。
- PPO (Proximal Policy Optimization): 強化学習における政策勾配法の一種で、安定した学習を実現するアルゴリズム。
- Vision Foundation Models: 大規模な視覚データで事前学習された汎用的な画像認識モデル群。