汎用ロボット基盤モデル RynnBrain 1.1──最大 122B スケールで VSI-Bench 等の主要ベンチマークを圧倒
2Bから122B-A10Bまでのマルチスケール展開と接触点予測・ネイティブ3Dグラウンディングの導入により、多様な実ロボットでの高精度な把持とプランニングを実現した。
リリース: 2026-07-20 · 読了 5 分論文概要
RynnBrain 1.1 は、2B、9B、122B-A10B の異なるスケールを持つ埋め込み型(embodied)基盤モデル群である。時空間および物理的にグラウンドされた統一フレームワークに基づいてトレーニングされており、知覚、空間推論、ローカリゼーション、プランニングを包括的にサポートする。前身である RynnBrain 1.0 からの大きな進化として、モデル全体を通じた接触点(contact-point)の予測機能と、2Bおよび9Bモデルへのネイティブ3Dグラウンディングが導入され、ロボットのより正確なマニピュレーション操作が可能になった。

関連研究
従来、ロボットの制御にはタスクごとに個別のポリシーを学習させるアプローチが主流であった。近年は大規模言語モデル(LLM)や Vision-Language Model(VLM)をベースにした Vision-Language-Action(VLA)モデルが提案されているが、多様なロボット形態への統合や三次元空間での精密な位置合わせにおいて限界があった。本研究は、これまでの単一タスク特化型モデルや既存の一般汎用 VLA モデルに対し、マルチエロボット・マルチタスクの同時訓練による性能向上を示している。
新規性と貢献
本研究の主要な貢献は以下の3点にある。
- 2B から 122B-A10B に及ぶマルチスケールなモデルファミリーの構築。
- 接触点予測機構とネイティブ 3D グラウンディングの統合による、ロボットマニピュレーションへの直接的なアラインメント。
- Unitree G1、Astribot-S1、Tianji-Wuji などの多様な実ロボット形態(Cross-embodiment)へのデプロイ実証。
提案手法の詳細
RynnBrain 1.1 では、統合されたクロスエロボットアクションスペースとエロボット固有のマスキングを採用した RynnBrain-VLA が開発されている。これにより、異なるハードウェア構成を持つロボット間でも、統一された表現空間を共有しながら効率的な動作生成が可能になる。

評価・考察
評価実験では、VSI-Bench、MMSI、RefSpatial-Bench などのベンチマークにおいて、122B-A10B モデルが既存のすべての商用およびオープンソースモデルを凌駕する性能を達成した。また、実ロボット実験において、RynnBrain で初期化したポリシーは Qwen ベースや代表的な汎用 VLA モデルを上回る結果を示した。さらに、マルチタスクおよびマルチエロボットの共同訓練が、タスクごとの個別訓練と比較してプロセススコアや成功率を向上させることを確認している。

応用例と今後の展望
実世界におけるロボットマニピュレーションや製造業・物流業向けヒューマノイドロボット(例:Unitree G1 等)の制御において、高度な汎用性とプランニング能力を提供できる。日本の製造業やサービスロボット研究において、複数メーカーのハードウェアを横断して共通の知能基盤を導入するための有力な選択肢となり、システム開発コストの削減と適応性の向上が見込まれる。
結論
RynnBrain 1.1 は、マルチスケールな構成と接触点予測・ネイティブ3Dグラウンディングの統合により、従来を上回る空間推論とロボット制御性能を実証した。複数ロボット形態への展開可能性を示した点で、次世代ロボット基盤モデルの重要なマイルストーンとなる。
注釈
- VLA (Vision-Language-Action): 視覚・言語・行動を統合し、視と言語の入力から直接ロボットの制御信号を出力するモデル。
- 3Dグラウンディング: 2D画像上の物体と3D空間上の位置座標を対応付ける技術。